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社会福祉の
新たな地平を目指して

令和5年度 第2回科学的介護情報システム(LIFE)推進委員会

2024年2月16日(金)開催

 かながわ福祉サービス振興会では、令和3年度の介護報酬改定に盛り込まれた「科学的介護の推進」とそれを進める為の「科学的介護情報システム(以下、LIFE)活用」は、多くの介護事業者様ににとって重要な改定ポイントとなり、業務のあり方にも大きくかかわる転換点にとなった事項について、LIFE推進委員会を立ち上げ、活動してまいりました。
 業務負荷を抑えながら、科学的介護の実践とそれが実践する事で生まれるより高度かつ質の高い介護サービスの提供が可能となるよう、本委員会において適切なオペレーションやICT活用の取組みを含め、LIFEの実践につながる検討を進めてまいります。
LIFE推進委員会については、こちらをご覧ください。※事業サイトに飛びます。

 令和5年度LIFE推進委員会の作業部会には、以下法人会員様にもご参画いただいております。
  ・社会福祉法人 伸こう福祉会
  ・
SOMPOケア株式会社
  ・エヌ・デーソフトウェア株式会社
  ・株式会社 カナミックネットワーク
  ・株式会社日本コンピュータコンサルタント

厚労省講演の写真
LIFE委員の写真


 令和6年2月16日(金)に、令和5年度最後のLIFE推進委員会が行われました。
 当日は厚生労働省老健局老人保健課 長嶺様をお招きし、「科学的介護情報システム(LIFE)の現状と今後の展望について」の講演をいただきました。4月の介護報酬改定を目前に、厚労省におけるLIFEの展望や課題を含めお話をいただき、当日は100名を超えるオブザーバーの方々に聴講をいただきました。

■基調講演後の各委員からのコメント
池田 紫乃 委員
(慶応義塾大学医学部 ウェルビーイングリサーチセンター 研究員)
 フィードバックの在り方が進化しており、エビデンスベースドの介護へ向け、状況が整ってきたと感じました。DXやLIFEのフル活用、エビデンスベースドの介護実践、そして個別ケア。これは介護現場の在り方が変わっていかなければならない運動とも言えるのではないでしょうか。
石山 麗子 委員
(国際医療福祉大学大学院 医療福祉経営専攻 教授)
 LIFEが進んできており、厚労省の中でもLIFEをどのように介護過程や日頃の業務に取り入れるかを検討し、サポート体制をとっていただいていることを感じました。LIFEがケアマネジメントのプロセスにはどのように入ってくるのかという点において、居宅介護支援事業所は利用者によりサービスも事業所も異なるという形態の中で、フィードバックデータの取扱い以前の課題があると感じています。ものさしの測り方を揃えることだけでもかなり効果が出ると思われますし、それ自体が居宅介護支援事業所、担当者会議の質の向上になるのではないでしょうか。LIFEについては段階的に取り入れていく方法も一案ではないでしょうか。
伊藤 健次 委員
(山梨大学 人間福祉学福祉コミュニティ学科 准教授)
 LIFEがより見えるものになってきて、現場が反応しやすくなるというイメージがもてました。懸念としては、LIFEを使う人材の部分です。LIFEは質の高いデータを入れないと、アウトプットが出ない仕組みです。実証等ですでに成果を上げている事業所は、3段飛びジャンプでLIFE活用を行い、すでに遠くまで飛んでいるように感じます。理念の構築と体現という助走の段階が伴ってなかったり、LIFEへの入力自体に課題があったり、BI(バーセルインデックス)のような評価指標に慣れていないなどの課題がある事業所は多いと感じます。また、LIFEを活用するにしても、フィードバックデータの意味をかみ砕ける人材が不在では活用は難しいと思います。活用できている事業所は、現場のリーダーやマネージャーが育っている印象があります。現場にそれらの人を定着させられないとLIFEは活かせないと思います。
鷲見 よしみ 委員
(医療法人聖仁会 オーク介護支援センター 施設長)
 個別のフィードバックデータが担当者会議で活用できるのではないかという印象をもちましたし、今後、さらに拡大してほしいと思いました。懸念されていたように、フィードバックされる情報量が多くなったときにどう整理するのかは課題と思います。現在は状態像の改善や移行変化については、残念ながら現場は得手ではない部分と感じます。そういったところを上手に整理できる流れが出来ると良いですね。小さな事業所が身近にLIFEをどのように使いこなしていくかが課題だと思います。
瀬戸 恒彦 委員
(公益社団法人かながわ福祉サービス振興会 理事長)
 事業所は小さいところから大きいところまで様々で、最先端もあればうまくいかないところもあり、バラつきがあるのは県内でも見受けられます。LIFE普及には、人材がキーになるのではないかと考えています。リーダー、マネジャークラスの人材が育っていないとLIFEの活用までに至らないのではないでしょうか。そういう意味で、学びの場を提供していきたいと思っています。指導者が必要になってきますが、分析力があり、展開できる人を指導者として育成し、横展開で排出していかないといけません。現場にわかりやすく情報を伝え、何が求められているかを知ってもらいたい。見える化が良いと上手に使う気持ちになりますが、LIFEはグラフの作り方が上手であり、意欲をかきたてる伝え方ができていると思います。データの正確性、忌憚のないデータ入力についてより一層取り組んでほしい想いです。
竹下 康平 委員
(一般社団法人日本ケアテック協会 専務理事/
 株式会社ビーブリッド 代表取締役)
 これからデータを読み込んでいく観点からの課題としては、画面を見ながらどのように分析していくのかという点だと思っています。分析方法の学びや周知が課題と認識しています。来年度以降の委員会の中で、どのようにUI(ユーザーインターフェース;ユーザーとコンピュータとが情報をやり取りをする際に接する、機器やソフトウェアの操作画面や操作方法)を活用して行くか、浸透させていくかを考えていきたいと思います。データ活用は範囲も広がり深掘りされてきていますが、どの人が入力しても、どの事業所が見ても同一なのか、というデータが使えるものであるという前提を満たしてなければ、集まったデータの分析も難しくなります。データの入力のしやすさも重要ですが、システムとして、どのように現場から均一化されたデータをとるか、とりやすい入力方法はどのようなものかは検討していかないといけないと思います。

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